本日の記事は経理・財務の仕事内容と転職の動向に関する記事の続きです。
経理・財務の仕事内容について
一言に経理・財務といっても、決算開示、支払事務、業績管理、資金調達まで、とても一括りにできないほど仕事内容に幅があります。
明確な定義はありませんが、経理・財務の仕事内容を大きく分類すると下記になります。
【経理・財務の仕事内容】
① 経理事務(伝票計上、債権債権管理、在庫管理)
② 決算業務(決算の作成、決算開示、税務)
③ 資金業務(資金繰り管理、支払事務、キャッシュマネジメント)
④ 財務業務(資金調達、資本政策、バランスシート管理)
⑤ 経営管理(予算策定、実績分析、原価管理、KPI管理)
初めは①経理事務からスタートし、2〜3年ごとに社内異動を繰り返し、②から⑤までの分野を複数経験し、一人前の経理職になっていくパターンが多いのではないでしょうか。
転職市場の動向について
前回の記事では、①経理事務、②決算業務の転職市場の動向を紹介しました。本日の記事では、③資金業務、④財務業務の転職市場の動向を紹介します。
③資金業務(資金繰り管理、支払、キャッシュマネジメント)
まずは財務業務の一部である資金業務についてです。資金業務は企業の資金循環が円滑に行えるように資金繰りを管理や支払事務を行うことが主な業務になります。
大企業の場合においては、単に資金循環を円滑に行うというだけでなく、企業の資金に関わるリスク管理や資金効率が向上するように、グループ間の資金の貸付(インターカンパニーローン)や債権債務の相殺(ネッティング)等のキャッシュマネジメントも行なっています。
単なる資金繰り管理だけでは転職市場では評価されない
資金関連業務についても、どの企業でも必要とされるものですが、残念ながら単なる資金繰り管理や支払事務を経験しただけでは転職市場ではほとんど評価はされません。
資金繰り管理業務や支払事務はそれほどの専門性を必要とせず、未経験社員でも数ヶ月間トレーニングをすれば、ある程度の業務が行えてしまうからです。
高度なキャッシュマネジメントを習得していれば転職で有利
一方で単なる資金繰り管理でなく、海外子会社も含めたグループの資金を管理し、効率化できる高度なキャッシュマネジメントの手法を取得している場合は大手企業への転職に有利になります。
企業のグローバル化に伴い海外子会社を含めたグループ全体での経営の効率化が求められていますが、在庫や物流とは異なり、資金に関しては未だにグローバルでの最適化が達成されてない企業が多く、キャッシュマネジメントを高度化でき、企業の資金に関わるコストやリスクを縮小できる人材は重宝されるからです。
一方、小規模な企業においては子会社数や運転資金も多くなく、複雑な資金管理は不要なため、資金業務の高度化へのニーズはそれほど高くありません。
活躍するためにはグローバル財務人材になる必要がある
資金業務の高度化については、有益な情報へのアクセスや実務経験という観点から高度な資金業務の実務経験がある先進企業からの転職者や銀行出身者が有利な状況です。
転職者のレベルも高く、採用人数も少ない中で、資金業務のスペシャリストとして活躍し続けるには、高度なキャッシュマネジメントの知識だけでなく、グローバルで活躍するための英語力やファイナンス等の知識も身につけることが必要です。先進企業が行なっているキャッシュマネジメントの実務については別記事で詳しく紹介していますので、ぜひ本サイトで勉強してみてください。
④財務業務(資金調達、資本政策、バランスシート管理)
次は資金調達、資本政策、資産の売却等のバランスシート管理を行う財務業務についてです。③の資金業務が日々の資金繰りを管理する一方、財務業務については中長期の成長を考え、企業の負債のあり方や資産のあり方を考えます。
成長企業や積極的なM&Aを行う企業でニーズが強い
財務の専門家のニーズが高いのは成長が著しいベンチャー企業になり、成熟期に入っている多くの大企業においては通常業務で財務知識が必要な機会はあまりありません。ただし、大企業においてはM&Aを行う専門部隊がある場合があり、そこでは財務の知識が必要とされます。
ただし、ファイナンスの実施に関しては銀行や証券会社がアドバイスをしてくれる場合も多いため、高度な実務経験が必要という訳でもなく、金融機関の話を理解できるレベルの業務知識があれば、実務経験がなくとも何とかなるかと思います。
ベンチャー企業や大企業のM&A専門部隊においては、大手日系証券会社や外資系証券会社からの転職者も多く、転職者も比較的すぐに馴染める環境があると感じます。一方で、大手日系企業の財務部門においてはプロパーの社員が多く、転職者は特命担当として、任務を任されるケースが多くあります。
転職時の年収は下がるケースが多い
財務分野での転職は転職時の年収は下がるケースが多くあります。財務部門の転職の場合、前職の年収水準が高いことが多いため、転職時の年収を比較すると年収ダウンのケースも多いのです。
それでも、大手証券会社から事業会社のM&A部門への転職や大手事業会社からベンチャー企業の財務部門へ転職が多くあるのは仕事のやりがいや安定性からだと思います。
たとえ、年収が下がってもエキサイティングな環境で満足した仕事ができるのであれば、充実した日々が送れ、金銭以上の価値を見出せるかもしれません。実際に転職後、数年経っても前職の年収に届かないケースが多くありますが、それでも幸福度が増したというケースは多いです。


