キャッシュマネジメント

キャッシュプーリングのスキーム選定①

本日より、キャッシュプーリングの導入に関する記事となり、まずはキャッシュプーリングの管理者と設置国をどこにすべきかという記事を記載します。

トレジャリーセンターの位置

グループの財務統括拠点をトレジャリーセンターと呼びますが、記事の中ではグループのトレジャリーセンターをどこに設置するかという点を議論しています。

日系企業の場合、ほとんどのケースが日本にトレジャリーセンターを設置をしていますが、必ずしもそれが正解とは限りません。

例えば、日系企業で財務の高度化をいち早く行ったソニーは、2000年にロンドンにソニー・グローバル・トレジャリー・サービシーズ(SGTS)を設立し、もうずっと前から財務統括機能をロンドンに移しています。

それ以外のケースでも、比較的、財務機能の高度化が進んでいる日系の大企業においては、戦略、意思決定機能は日本に残すものの、オペレーションはシンガポール等、グループ内で職務分掌を分けるケースが増えています。

財務統括拠点を国外に設置する理由

日系企業で財務統括拠点を海外に移転する理由は、より優秀な人材がロンドンやシンガポールにいる、海外の方がより安くオペレーションができるという積極的な理由よりも、日本では人的な側面や市場環境により、高度なレベルでのトレジャリー実務を期待した場合、要求するレベルの実務ができないという消極的な理由から来ていると考えます。

人的な側面

人的側面を考えると、ロンドンやシンガポールでは以前より地域のトレジャリーセンターが多くあったため、英語が話せて、トレジャリーマネジメントのわかる人材が数多くいますが、日本の場合、そのような人材は外資系企業や一部の財務の高度化が進んだ日系企業でトレジャリー業務を行なっていた極一部の人材に限られてしまいます。

市場環境

また、市場環境でも東京の金融市場ではまだ外貨の取引量が少なく、キャッシュプーリング導入の次の項目であるグローバルでの支払の集約化やネッティング等を考えた際にマイナー通貨が扱えないことが、海外に財務拠点やオペレーション拠点を移転する主な動機になっていると考えています。

今後どうなるのか

2008年に起きたリーマンショック以降、アジアを中心にメガバンクの海外進出が加速しており、キャッシュマネジメント分野においては邦銀のサービスの質も大きく変わっています。

一方、日本の決済市場においては送金の24時間化や決済の高度化に関して決済インフラを改革する動きは出ていますが、外貨への対応に関する取り組みの動きはほとんど耳にしません。

年に2度発表される世界の金融センター指数(金融センターランキング)においても、トップはロンドン、2位はニューヨークはそれぞれ欧州圏、米州圏で不動の地位を維持しているものの、日本は香港、シンガポールに続く5位となってしまっていて、アジア圏でのプレゼンスにも課題があります。

このような状況の中、あなたの会社がどこにトレジャリーセンターを持っていくかを考えるために情報を整理したのが本日の記事です。

続きは下記のURLをご覧ください。

https://note.mu/gnz8/n/n09a2141311ab