キャッシュマネジメント

キャッシュプーリングの運用ルール②

本日は前回説明しましたキャッシュプーリングの運用ガイドラインの補足となります。

運用ガイドラインの重要性

キャッシュプーリングの目的は、グループ全体の資金効率を向上させるためですが、キャッシュプーリングはそれを実現するための手段に過ぎません。

キャッシュプーリングをどのように利用するかのしっかりとしたガイドラインを展開し、初めて目的を達成できるのです。

このことについては、特に不自然に思われる方はほとんどいないとは思いますが、 特に、日系の大企業においては、キャッシュプーリング自体の構築には成功しても、運用ガイドラインの構築で躓き、 プロジェクトが思うような効果を挙げられていないケースがあり、注意が必要となります。

キャッシュプーリングが失敗するよくあるケース

キャッシュプーリングのプロジェクトが失敗するよくあるケースは、本社が海外現地法人の言い分を聞きすぎて、財務ポリシー(運用ガイドライン)があるべき姿にならない場合です。

例えば、下記のような例が挙げられます。

【キャッシュプーリングを導入したものの効果が発揮されない例】

キャッシュプーリングの利率の関係でキャッシュプーリングの利用を任意としてしまい、結果としてキャッシュプールに資金が集まらない、集まった資金が活用されない。

各社が手元の資金を手放しキャッシュプールに預けることや、現地銀行との預金・借入の付き合いをやめることを嫌がり、キャッシュプーリングがほとんど機能しない。

キャッシュプーリングの仕組みの導入だけでは不十分

キャッシュプーリングを単なる仕組みの導入と考えるだけではプロジェクトはうまくいきません。狙い通りの効果を得るためには、個別最適を追求する現状のルールを捨て、全体最適を実現するための新たなルールの策定が必要になり、そのルールが運用ガイドラインになります。

本日の記事では、前回説明した運用ガイドラインを展開する上での各社から寄せられるであろう下記の質問や要望とそれに対する回答例を記載しています。

 

【よくある質問・要望】
① キャッシュプールの預金・借入利息が良くないため、利用したくない
② キャッシュプールの預金利率を上げてほしい、借入利息を下げてほしい ③ 現地銀行とキャッシュプールを都度比較し、有利な利息の方を選択したい④ 現地の銀行から預金・借入をお願いされている
⑤ 既存の銀行と互恵関係があるため、取引をやめると自社の売上が落ちる
⑥ 現地で銀行取引をしないのは納得がいかない
⑦ 安全資金を手元に保有しなければいけないので預けられない。
⑧ すぐに資金を引き出せないのが心配で預け入れられない。
⑨ 毎日、預入するのは手間がかかるため、預け入れられない。
⑩ 個社の経営目標に影響するため預け入れられない。

 

全体最適を実現するために、これらの課題にどのように対応していけばいいのか一緒に確認しましょう。

繰り返しになりますが、しっかりとした財務ポリシーが展開できないと、キャッシュプーリングプロジェクトの効果を最大化できない確率が非常に高まります。財務マネージャーの方はぜひ、ご確認ください。

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https://note.mu/gnz8/n/nb7b76fb4bd52